本日、ダイヤモンド社を退職しました。
2005年の9月に前職のアスキーから転職してきたので、ちょうど6年、勤めたことになります。
ダイヤモンド社はとてもいい会社で、すばらしい経験をたくさんさせていただきました。本当に好き勝手に本をつくることができたし、電子書籍など新しいことにチャレンジもできました。なによりも『もしドラ』のような経験は、そうできるものではありません。そんな場を与えてくださった会社のみなさんにはとても感謝しています。
ダイヤモンド社の書籍編集局は、いまノンフィクションの本をつくるならここにいるのがいちばん!といえるくらいのメンバーがそろっています。また、井上部長ひきいる営業部も業界最強といっていいでしょう。そしてなによりも編集と営業の連携がすばらしいのもダイヤモンド社の特徴です。
では、なんでやめるのか?
じつは、あんまり確固とした理由はありません。新しいことがしたい。面白いことがしたい。世界で仕事をしてみたい。フリーランスで仕事をしてみたい。そんな厨房みたいな理由です。
ただ、ちょっと思っているのは、編集者という仕事のかたちが変わっていくんじゃないかな、ということです。そこに適応する形で、まったく新しい仕事ができるんじゃないのかなという漠然とした思いはあります。
本はすばらしいメディアです。グーテンベルク以来、濃い目のメッセージを届けるための、最強のメディアだったと思います。もちろんぼくも本が大好きで、仕事中に本を読める仕事につきたいがために編集者になりました。今後も、本をつくり続けると思います。
ただ同時に、「これは本じゃなくてもいいよなあ。いやむしろ本じゃないほうがもっと伝わるんじゃないか」と思うことも増えてきました。言うまでもなく、インターネットやテクノロジーの進歩、そしてそれに伴う人々のライフスタイルの変化のおかげで、です。
たとえば。
これはよく話しているんだけど、英単語を覚えるのは、本よりもコンピュータを使ったほうがいい可能性が高いです。紙の単語帳を使ったひとは多いと思うけど、あれ、半分以上の時間は暗記じゃなくて学習のマネジメントに使ってませんか。この単語は覚えた、これは覚えてない、復習はこのタイミングで……といった感じで。
そんなことはコンピュータにまかせれば効率は大幅にアップするでしょう。楽しくすることもできます。ネットワークを使ってひとと競うようにもできるでしょう。コンピュータのちからで、いままでよりも5倍早く単語を覚えられるようになったら、あまった時間はデートとかもっと有意義なことに使えばいい。つまり、世界は確実によくなると思うのです。
ほかにも、料理、ダンス、スポーツ、音楽なども本が苦手とする分野です。ぼくは寿司の握り方をyoutubeの動画で覚えましたが、タブレット端末が普及したら、こういうものが増えるでしょう。たんなる動画だけでなく、本のいいところもあわせ持った、インタラクティブコンテンツが栄えるのではないかと思っています。
またこうした分野は、容易にグローバルマーケットに出ていくことができる分野です。昨年、電子書籍をやってよくわかったのは、マーケットは世界とつながっていることと、ライバルはゲームなども含むあらゆるコンテンツであることの2つです。
というわけで、今後はフリーで、いろんなひと、いろんな組織と組んで、いろんなことをしようと思っています。軸はたったひとつだけです。
コンテンツをもっともふさわしいメディアにのせてひろく届ける
ぼくらの仕事は「影響力を最大化すること」です。だから、紙とかデジタルとかはあんまり関係なく、必要なものを必要なメディアにのせて届ける。そうしたら、世界をほんの少し、前にすすめることができるかもしれない。
なんてことを考えて、フリーになります。
7月末に辞表を出して、3カ月たちました。引き継ぎをしたり、本を読んだり、いろんなひとと会ったりしてすごしていました。正直、まだなにも決まっていないし、これからどうなるのかぜんぜんわかりません。
でもまあいいか。失敗しても死ぬわけじゃないし。でもっていつか死ぬし。だったらおもしろいことだけやろう。
そんな感じです。とりあえず、がんばってみます。