2012年の終わりに:メディアの潮目が変わる年

今年は、本当にいろんなひとにお世話になった年だった。

年のはじめにCTOの原永さんにジョインしてもらい、春先からずっとcakesのシステムをばりばりつくっていた。フェムト・スタートアップとサイバーエージェント・ベンチャーズから出資もしていただいた。

それと並行して、たくさんのひとに会いまくって、原稿を書いていただくお願いをしたり、さまざまな出版社などメディアの原稿をcakesに出してもらうお願いをしたりしていた。

今年あったひとたちは、ものすごい数になる。分野も幅広くて、著者、編集者、技術者、出版社、書店だけでなく、テレビ局、ラジオ局、新聞社、ゲーム会社、学校、広告会社、ITベンチャー、投資家など、あらゆるひとたちに会いまくった。そして、お世話になりまくった。

たくさんの人達にあって感じたのは、メディアが大きく変わろうとしているんだなということだ。もちろんメディアというものは、ずっと変わり続けてきているわけだけど、インターネットの力がそれを加速させている。

いま起ころうとしていることをひとことでいうと、「コンテンツが自由になろうとしている」ということなのだと思う。ネットは、あらゆるものを身も蓋もなく民主化する。出版業界は、その荒波にもまれはじめていて、ぼくが会社をつくったのもそれが理由だ。

多くのひとに会って気づいたのは、本や雑誌だけでなく、テレビもラジオも新聞も、広告もゲームも教育も、あらゆるメディア産業が、いま、似たような問題を抱えている。コンテンツが「自由」になることで、収益の基盤がゆらいでいるのだ。

でも、ぼくらがやるべきこと、やりたいことはそもそも、「コンテンツをしばりつけて儲ける」ことではない。やりたいことはたったひとつ。「伝える」ことだ。そこはみんな、共通しているはずだ。

コンテンツがいままでよりも自由になったら、よりよく「伝える」ことができるようになるはず。よく伝わってひとの役に立てば、きちんとビジネスにだってできるはず。

2012年の9月にオープンしたcakes(ケイクス)は、みんながそういうことをするために、使ってもらえるためにつくりました。おかげさまでオープンから3カ月、大勢の読者のみなさん、クリエイターのみなさんに使っていただいています。

今年はありがとうございました!

2013年は、いろんなひとといっしょに、おもしろいことをたくさんしたいと思っています。とんでもなくぶっとんだ1年にしたいですね。

2013年も、よろしくお願いします!

株式会社ピースオブケイク代表取締役CEO 加藤貞顕

 

会社を設立して1年たちました。

会社を設立してちょうど1年たちました。

今年の9月にcakes(ケイクス)というコンテンツプラットフォームサービスをはじめたわけですが、運営母体となるピースオブケイクという会社は、昨年(2011年)の12月8日に設立しています。ちょうど1年が経過しました。

たくさんのクリエイターのみなさん、協力してくれている出版社のみなさん、そして社員や関係者のみなさんのおかげです。9月からは、購読者のみなさんも仲間になりました。みなさん、ありがとうございます。今後もよろしくおねがいします。

 

12月7日の午後、CTOの原永さんが散歩しながら打ち合わせをしようと言ってきて、2人で外に出ました。

30分くらい話して会社に戻ってきたら、目の前にケーキとシャンパン、社員や出資先のみなさんが大勢で、サプライズでお祝いをしてくれました。

ぼくは本当に幸せものです。

乾杯したり食べたりしていたら、だれかが「会社をつくった時からcakesのことを考えていたんですか?」と聞いてきました。「どうだったっけ?」と思っていたら、フェムト・スタートアップの磯崎哲也さんが「そんなことはないですよ」とぼくのかわりに答えてくれました。

すっかり忘れていたのですが、そういえば、あんまり深く考えてなかったな。

深夜に、仕事が終わり、家に帰って、会社を設立した直後のブログを見てみました。

ピースオブケイクは、デジタル、アナログを問わずに、さまざまなコンテンツをつくるための会社です。最初はぼくひとりからのスタートですが、だんだん仲間を増やしていければと思っています。いろんなクリエイターのみなさんと仕事をできるのを楽しみにしています。

「株式会社ピースオブケイクを設立しました。」

ただ、年末にはこんなことを書いています。

ぼくがやりたいのは、

・テクノロジーとコンテンツをつなぐいいしくみをつくること
・そのうえで、新しいタイプのコンテンツをつくること

の2つです。

「ドラクエのような日々」

これについてはいまもまったくぶれていません。

そして、記事のタイトルそのままなんですが、まさにドラクエのように「やること」と「仲間」を探してここまでやってきています。いろんな出会いがありました。いっしょにやってくれているみんなには感謝ばかりです。

そして、もっといろんなことをやっていきたいので、ピースオブケイクはさらに仲間を増やしたいと思っています。

・エンジニア
いまとくに探しているのは、iPhone、iPad、Androidの開発経験があるひと、Ruby on Railsの開発経験があるひとです。世界に類のないサービスをつくることに興味があるひと、連絡ください。Wantedlyの募集ページに環境などがくわしく載っています。

・編集者、ライター
新しいことをしたい編集者と書き手を、募集しています。紙で経験を積んだ方、大歓迎です。おもしろいひとに会いまくっておもしろい記事をつくりまくることができますよ。

・学生インターン
インターンのみなさんには、編集やライティングの補助、各種雑用、開発の手伝いなどをお願いしています。いまは特に、本気のプロの書き手になりたいひとに来てほしいです。

ほかにも、ディレクター、デザイナーなど腕に覚えがあるひと、心当たりがあるひとは、以下までご応募ください。楽しみに待ってます。

info@pieceofcake.co.jp

cakes(ケイクス)がローンチしました。

本日、新しいコンテンツ配信プラットフォームのcakes(ケイクス)がオープンします。

cakesは、ピースオブケイクが開発した、デジタルコンテンツをウェブで配信するためのプラットフォームです。

インターネット上でコンテンツを流通するためにつくられた新しい市場であると同時に、読者のみなさんが好みのなコンテンツに出会える新しいメディアでもあります。

ぼくらがやりたいことはものすごく単純です。

コンテンツをもっともふさわしいメディアにのせてひろく届ける。

伝えたい内容にあったメディアを選んで、より広く伝えるのがぼくらのミッションです。そうしたら、世界をほんの少し、前にすすめることができるかもしれない。いまはウェブがいちばん便利だと思うので、そこにコンテンツの流通のしくみをつくりたい。そんなふうに考えて、cakesをつくっています。

ウェブでの有料コンテンツ配信プラットフォームというのは、まだはじまったばかりの、世界でもそんなに例がない試みです。今回、本当にたくさんの人々のご協力のおかげでスタートラインにたどり着きました。まだまだ至らないところがたくさんあるかもしれませんが、インターネット上にクリエイターと読者が出会う場をつくるために、どんなことも前向きに改善していくつもりです。

会社をつくったのは、2011年の12月です。あっというまに9カ月が経過しました。著者、ライターのみなさん、デザイナーさん、カメラマンさん、エンジニアのみなさん、出版社、ウェブメディアのみなさん、ファイナンス関係のみなさん、そして編集者の友人たち。ほんとうにたくさんのひとたちが、気持ちよく手を貸してくださいました。みなさん、本当にありがとうございます。

今後ともよろしくご指導いただければ幸いです。がんばります。

PS
cakesについてくわしく知りたいかたは古賀史健さんからしていただいたインタビューをご覧ください。

【第1回】cakesが見つめる「普通」の未来。

 

 

中2魂を持つすべてのひとに。

青山裕企さんの新刊『僕は写真の楽しさを全力で伝えたい!』(星海社新書)を担当編集者の柿内さんからいただきました。

僕は写真の楽しさを全力で伝えたい! (星海社新書)

タイトルからもわかるとおり、とんでもなく力が入った本です。全編をつらぬく中2魂がたまらんです。写真の本なのに、テーマは多岐にわたります。家族、青春、恋、友情、才能、仕事…みんなに関係のある話がびっしりつまった本です。男子も女子も買いましょうね。

著者の青山さんとは、1年半くらい前に出会いました。青山さん撮影の写真集『UWAKI』を見て、吉高由里子さんのかわいい写真のすばらしさにツイッター上でもだえていたら、コメントをいただいたのがきっかけです。

このツイートは金曜日だったんですが、次の月曜のお昼に、池袋の中華屋さんで二人で会うことになりました。

『SCHOOLGIRL COMPLEX』のようなメジャー作品もあるし、『ソラリーマン』のようなアートっぽい作品もあるし、青山さんってやっぱりイケイケな感じの人なのかなあと思っていたら、どちらかといえば純朴な雰囲気の、物静かで知的な感じのひとが現れました。

話をしていると、青山さんが写真をとても大事にしていて、すごくよく考えていることが伝わってきました。もちろん、プロのカメラマンはみんな、写真を好きだし、考えています。ただ、なんというか、青山さんが写真を語るときは、ちょっと違うんです。シャイな男の子が、好きな女の子について語る感じが近いと思うのですが、うれしそうに、すこし恥ずかしそうに、でも饒舌に語ります。

本書を読んで、いろいろ合点がいきました。内気なおとなしい青年が、写真を通じて社会とつながってゆく物語がこの本の通奏低音となっています。そしてそれを彩る美しい写真の数々。写真の撮り方もあります。細かなテクニックというよりは、どうやって対象を見つめるのかとか、テーマのつくりかたとか、どうやって見せるのかとかそういう話です。

なお、青山さんには明日からはじまるcakes(ケイクス)でも連載いただくことになっています。”Cool Local”を合言葉にしたフリーペーパー『美少女図鑑』さんとのコラボレーション企画「彼女写真」です。青山さんが日本中を旅して、日本のかわいい女の子を撮影しまくります。ぜひご覧いただければと思います!


はあちゅうさんと家入さんの新刊!

著者のはあちゅうさんと家入さんさんから新刊をいただきました。

この2冊は、ディスカヴァー21から刊行されたU25という若者が社会を生き抜くためのシリーズなんですね。ぼくがいま立ち上げ準備をしているメディアサイトcakes(ケイクス)も、「明るく楽しいサバイバル」を標榜することにしているので、興味津々で手に取りました。

結論から言うとこの2冊、すごくいいですよ。読みやすいし、おもしろいし、実際に読者の役に立つという三拍子がそろってる。

このところ、たまたま著者のお二人にお会いする機会に恵まれたのですが、本に、お二人のよさがよく出ているんですよね。

家入さんは、有名な起業家でいらっしゃいますが、肩の力が抜けたとてもかっこいいひとです(ブログはこちら)。周囲への思いやりにあふれていて、仲間と一緒にクリエイティブに暮らすことをつねに考えています。

はあちゅうさんは、ブログでは一方的に知っていたのですが、先日はじめてお会いしました。エネルギッシュで自分の気持ちに忠実な、すてきな女性です。あの若さであの落ち着きと度胸。すごいですよ。

この2冊をめくっていて思うのは「めちゃくちゃ編集の手間をかけてある」ということです。見てください。こんなですよ。

編集者の徳瑠里香さんは面識があるのですが、お会いしたときは営業部にいたと思います。編集の部署に移動してはじめてつくった本がこれなんだそうです。ぼくもはじめて本を編集した時のことを覚えているんですが、とても楽しくてうれしくてがんばってつくりました。

この本を見ていると、そんな徳さんの楽しさとがんばりが伝わってきます。かけてある手間の量がはんぱないです。工夫されたたくさんのイラスト、折ごとに変えた紙の色、文章の改行位置にもこだわりを感じます。著者さんともだけど、デザイナーさんとのやりとりの量はものすごかったでしょう。

これだけのものをつくるには、たぶんとんでもない苦労があったたと思うのですが、こんなにすばらしいものができたら、すべて吹っ飛びますよね。家入さん、はあちゅうさん、そして徳さん、ほんとうにおつかれさまでした。

そして、こんなにいいものはたくさん売りたいですよね。こういう本は、販促をやればやるほど売れるはず。すでに売れてるみたいですけど、まだまだいきそうな気がします。応援してます。

PS
あ、家入さんにはcakesでも執筆いただく予定になっています。お楽しみに。

自分の強みをつくる (U25サバイバル・マニュアル)
自分の強みをつくる (U25サバイバル・マニュアル)

もっと自由に働きたい (U25サバイバル・マニュアル)
もっと自由に働きたい (U25サバイバル・マニュアル)

新しい名刺!

ピースオブケイクは、長らくこんな名刺をつかっていました。

はい。アスクルです。

アスクルのここで、あえていちばん市役所っぽいデザインを選んで、作りました。ベンチャー同士で名刺交換をすると、逆にけっこううけたりして満足していたのですが、さすがにcakes(ケイクス)のサービスインも近づいてきたのでそろそろつくろうかなと思っていたのです。

そんな折、徳田祐司さんというスーパーデザイナーさんと知り合いました。徳田さんがデザインしたものでいちばん有名なのは、やはりこれでしょう。

「いろはす」ですよ! ほかにも「綾鷹」や「チョコラBBスパークリング」なんかもデザインされれているすごいかたです(徳田さんのお仕事についてくわしくはこちらを)。

徳田さんとちょっとしたことでお会いしまして、ずうずうしくも「名刺をつくってください」とお願いしたところ、快く引き受けていただきました。

徳田さんには、ケーキをモチーフにしてほしいということと、

  • シンプル
  • かわいい
  • さわやか
  • 知的
  • ユーモア

を盛り込んでほしいですとつたえました。ぜいたく言ってます。

それで、でき上がってきたのがこちらです。

徳田さん、さすがです。ぜんぶはいってますね。紙は「ヴァンヌーボ」という書籍の表紙でよく使われる用紙を使っています。

かっこいい名刺はいいですよね。社員のみんなが、うれしそうに名刺交換するようになった気がします。

ところで、予算の都合で実現はしなかったのですが、最初に出していただいた案はじつはこちらなのです。

こ、これはかっこいいですよね。会社がもうかったらつくろうと思います。がんばります。

徳田さん、ありがとうございました!

 

※ぼくたちの会社ピースオブケイクでは、メディアサイトcakes(ケイクス)をつくっています。編集者、エンジニア、デザイナー、インターンなど、人手を募集しまくってます。お気軽に連絡ください!

 

サイバーエージェント・ベンチャーズから出資を受けました。

すでに会社のサイトでリリースを出していますが、株式会社ピースオブケイクは、株式会社サイバーエージェント・ベンチャーズを割当先とする第三者割当増資を行いました。

具体的に何をしたのかというと、ピースオブケイクの株式を新たに発行して、それをサイバーエージェント・ベンチャーズさんに買っていただいたのです。これによって、会社にお金が入りました。

今回は、事業をスピード感を持ってやっていくために、この選択をしました。

基本的に、会社を運営するには、お金がかかります。人件費だったり、開発費だったり、ネットワーク代、サーバー代、家賃などです。あたりまえなのですが、規模が大きなことをしようと思えば、それだけかかる金は増えます。

こういう、会社のお金をどこから工面するかという話全般をまとめて「資金調達」といいます。

資金調達でいちばんシンプルなのは、

1)資本金(元手)を最初からたくさん用意して、その範囲内で事業を行うこと。

です。お金持ちならこれがいちばん簡単です。だれに遠慮することもなく、事業ができます。

次にシンプルなのは、

2)事業を通じてお金をもうけながら、その利益からちょっとずつ投資を増やしていく

というやり方です。とても堅実で話もわかりやすい、いいやりかたです。

そして、日本でこれまでわりとメジャーだったのは、

3)借りる

という方法です。銀行から、親から、友だちから、そして社長のプライベートの口座からお金を借ります。たとえば銀行だと、かれらも商売ですから、ちゃんと事業の設計図を書いて、ちゃんと話をすると意外と貸してくれるらしいです(やったことがないので伝聞でごめんなさい)。

今回、ぼくらが選択したのは、上記のどれでもない、

4)株式を発行してお金を調達する(第三者割当増資)

という方法です。この方法を使う利点は、まず第一にスピード感があることです。そして、お金を出してくれる投資家に説明さえできれば、調達額にも融通が聞くことも大きです。

たとえば、amazon.comをつくったジェフ・ベゾスは、投資家から莫大な金額を調達して、あの巨大なシステムをつくりました。こういう事業は、銀行から借金をしてはじめることはできません。銀行の融資というのは、もっと低リスクなものに対して行うものだからです。ジェフ・ベゾスはインターネットで物を売ったらすごいことになるよと、多くのひとを口説いて回って大金を集めたわけです。こういう資金調達は、株式を使わないとなかなかできません。

こうやって書くといいことばっかりみたいですが、もちろんデメリットもあります。株式のよる資金調達の最大の問題点は、創業者の株式の持分の割合が減ってしまうことでしょう。株式というのは会社の意思決定権そのものなので、減りすぎると経営に影響が出ることがあります。

また、これはやり方の問題なのですが、小さな金額しか出してもらえないのに、大きな割合の株式を渡してしまうと、次に資金調達をしたいときに困ってしまいます。このあたりについては

起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なこと

『起業のファイナンス』

という名著(!)にくわしく載っていますが、ぼくらは幸運なことに、この本の著者・会計士の磯崎哲也さんのファンド Femto Startup LLP に以前から出資をしていただいて、磯崎さんから直接アドバイスをしていただいています。

あと、誰と組むのか(どこにお金を出してもらうのか)という問題もあります。今回僕らは、金融機関系のベンチャーキャピタルではなく、事業会社であるサイバーエージェントが運営しているサイバーエージェント・ベンチャーズさんから出資を受けました。副社長の大下徹朗さんのブログでも取り上げていただきましたが、お金だけでなく事業のうほうでもなにかコラボレーションできる可能性を考えてのことです。

というわけで、お金を確保して、人も採用して、システムや設備もそろえて、びしばしやって行きたいと思います。出していただいたお金は、当然ですが、かなりのリターンを見込んだうえで、出してくださっているわけです。

気を引き締めてやっていこうと思います。

引き続き、よろしくお願いします!

→ぼくらがいまつくっている新サービスcakes(ケイクス)のティザーサイトはこちらです。

CTOの原永さん

ピースオブケイクはいま、かなりの難易度のプロジェクトをすすめています。そうしたら、いつのまにかすごい人々がまわりに集まってきてくださいました。なんというか、こりゃ完全に世界レベルだわ、みたいなひとばっかりでびびります。

ぼくは「才能」が好きで編集者になったところがありまして、現状はあまりにも俺得な状況でして、自分ばっかりで楽しんでいてはもったいないので、メンバー紹介をしていこうかなと思います。

というわけで、最初の一人目はもちろんこのひとです。

原永さん

ピースオブケイクの取締役CTO・原永淳さん

原永さんとは、3年前に出会いました。ソウ・エクスペリエンスの西村琢さんの「未来の仕事」の講義に講師としていらっしゃったのです。いまでは原宿ウェブ研究所もいっしょにやっているし、あのときはこんなことになるなんて予想もしなかったな。

原永さんは、Yahoo! Japan!の立ち上げ時期に新卒社員の第一期生として入られたそうです。まだYahoo!が小さなベンチャーだったころから、数年後の一日に億単位のページビューを稼ぐようになるまでを経験しています。

Yahoo!ではいろんなことをしたそうですが、特筆すべきはトップページの担当だったこと。日本で一番落としてはいけないサーバの管理者として、超膨大なアクセスをさばいていた経験は、他ではつめないものでしょう。Apacheのモジュールを書いたり、OSに手をいれたりもしていたとのことなので、右腕本格派という感じです。

その後、独立されて、スパークラボという会社をはじめます。ここで多数のウェブサービスを立ち上げる経験をつんでいます。自社サービスとして有名なのはこれ。

cooboo(こーぼー)

ハンドメイドのマーケットプレイスです。手作りのものを見せっこしたり、売買したりするサイトです。楽天のハンドメイド版といえばわかりやすいですかね。

ほかにも

CaFoRe(カフォレ)

ModelTown (モデルタウン)

といったサイトも原永さんの製作です。CaFoReは普通のひと同士がクルマを貸し借りするカーシェアリングサイト、ModelTownはモデルさんと撮影者のマッチングをするサイトです。これらすべてに共通しているのは、マッチングと課金がくっついていること。どちらもインターネットとリアルをつなぐ仕組みです。

大手企業のウェブサービスの中身もたくさん手がけているし、ウェブサービスをつくらせたら日本一なひとりでしょう。今回のピースオブケイクのプロジェクトも、原永さんがいなくてははじまりませんでした。

人柄についてもふれておかなくてはなりません。特筆すべきは、大の長渕剛ファンであることでしょう。じつはぼくも中学生のころは長渕ファンだったのですが、高校生くらいからだんだん恥ずかしくなって公言するのをやめてました(ハンパで本当にごめんなさい)。でも原永さんは、世間の風なんてものともせずに、長渕ファンを貫き通しています。ちゃんとfacebookでも「いいね!」してるし、漢だと思います(ぼくもさっき「いいね!」しました)。

長渕ファンをずっと続けているというのは、原永さんという人間をよくあらわしていると思います。男らしさを大事にするところ、まわりなんて気にせずにいいものはいいという自立心、軸がぶれずにまっすぐなところです。

毎週日曜の夜、原永さんは長渕を聞いて自分を鼓舞しているそうです。というわけで最後にこの名曲を。

大人になったいま聞くと、ぜんぜん違う! しびれます。

株式会社ピースオブケイク、増資をします。

株式会社ピースオブケイクは、磯崎哲也さんが率いるフェムト・スタートアップの第一号案件として出資を受けることになりました(くわしい情報はこちらに)。

フェムト・スタートアップのゼネラルパートナー・磯崎さんはベンチャー・ファイナンスの世界の第一人者です。『起業のファイナンス』や、メルマガ「isologue」はベンチャーやコーポレートファイナンスなひとたちはみんな読んでます。

起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なこと
『起業のファイナンス』

フェムト・スタートアップは、出資をするだけではなく、CFO的にベンチャーと関わり、ファイナスから経営戦略まで多岐に渡るアドバイスをするための組織です。シリコンバレーのY Combinatorと似たイメージで考えてもらえるとわかりやすいと思います(Y CombinatorはDropboxやredditなどを輩出しています)。

磯崎さんには、昨年末に起業をしようとしているころからお話をさせていただいていて、これまでもたくさんのアドバイスをしていただきました。今回、このようなパートナーシップを得たことで、今後はもっと密にやりとりをさせていただきながら、あたらしいビジネスの創造に力をつくしていきます。

そしてもうひとつ。

原永淳さんに取締役CTOになっていただきました。

原永さんは新卒第一号としてヤフージャパンに入り、トップページ、マイヤフー、ヤフーきっずなどの開発や運用を担当していた凄腕のエンジニアです。現在は、スパークラボと原宿ウェブ研究所のふたつの会社のCEOでもあります。

強力なパートナーといっしょに仕事をすることができて本当にうれしいです。いま、このメンバーで、これまでにだれも見たことがないものをつくろうとしています。

そして、いろんな仲間を絶賛募集中です。ぜひみなさんの力を貸してください。間違いなく、楽しい経験ができますよ。

『なんでコンテンツにカネを払うのさ?』書評

この本、むちゃくちゃおもしろいです。文字通り一気読みでした。

なんでコンテンツにカネを払うのさ? デジタル時代のぼくらの著作権入門
『なんでコンテンツにカネを払うのさ? デジタル時代のぼくらの著作権入門』

話題の電子書籍の自炊から話がはじまりますが、本だけでなく、テレビ、アニメ、音楽、映画、ゲーム、ライブ、そしてウェブなどもふくめたあらゆる創作物=コンテンツが対象となっています。

著作権というあまりセクシーではないテーマなのにもかかわらず、なぜか異常におもしろいのが本書のすごいところです。こんなにおもしろくなるのは、岡田斗司夫さんの非凡な発想と、それを受け止める福井健策弁護士のたしかな知識・見識によるものでしょう。

たとえば、現行の法律では家族のなかでのコピーは合法なんですが、岡田斗司夫さんはこう言います。

「養子を1万人くらいとっても大丈夫なのでしょうか?」

それに対して福井さんは

「それは著作権に対するインパクトでなくて、社会に対するインパクトがすごいですよ!」

と答え、そこから「家族とはなにか」という話になり、さらに読み進むと最終的には国家や貨幣の未来にまで広がっていきます。しかもそれがピント外れのばらばらの議論にならずに、きっちりまとまっていくのだからお見事です。

本書で議論している内容は「デジタル時代のクリエイターはメシが食えるのか?」ということにつきます。岡田さんの立場は「たぶんほとんど食えないし、でもそれでいんじゃね?」だし、福井さんは「いやいやそれはいくらなんでも…」です。

お二人の話はぜんぜん食い違っているように見えるんだけど、「おもしろいコンテンツが増えてみんなが幸せになるのがいいよね」という点ではまったく一致しているんですよね。岡田さんの話は極論に見えるけど、50年後とか100年後を見据えているだけで、そこに至る途中経過については、むしろ意見があっている感じすらします。

「著作者の権利を保護する」というのはとても大事なことなんですが、副作用もあったりします。それは

・制作物の流通を阻害する
・未来のクリエイターが(模倣して)育つのを阻害する

の2点がおもなもの。とくにデジタルだと、コピーするのがタダになり、配信もタダになり、さらには国境までやすやすと越えるので、話がややこしいのです。これから我々は、技術的にも、法的にも、慣習的にも、新しいしくみをつくっていくしかないんでしょう。ちなみに、ぼくが会社をつくったひとつの理由も、このチャレンジに参加したいからです。

最後に、岡田さんの発言があまりにもおもしろかったので、本書から一部を引用しておきましょう。ぜひ実際に読んで真意を確認してみてください。

「創作だけで食っていこうという態度が真面目じゃありません」

「書店がサイン会をタダでやるのは絶対に間違っているんです」

「あらゆる産業の市場規模が10分の1になるんです」

「コミケ内で使えるのは『コミケ限定通貨』のみに」

「コンテンツホルダーやクリエイターを圧迫しているのは、海賊版だとか違法コピーじゃなくて、無料の作り手がこんなにいるという事実そのもの」

「2ちゃんねるはネット上に作られた巨大なピラミッド」

「コンテンツと土地はよく似ています」

福井さんの言葉もひとつだけ引用しておきます。優れたレシーバーあっての本書のおもしろさだったと思います。

「岡田さんって最終的に国を作ろうとしてますよね(笑)」

関連文献

新教養としてのパソコン入門 コンピュータのきもち
『コンピュータのきもち』
山形浩生さんに書いていただいた、10年前に編集を担当した本。この本の最終章に著作権なんてなくなってしまえばいいという議論がのっています。ぼくもわりとこの立場に近いです。テクノロジーをもっとうまく使えば、著作権なんてなくても、普通の財やサービスと同じようにうまく処理できるような気がする。

評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている
『評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている』
編集を担当させていただいた岡田斗司夫さんの本です。本書の中見とかなり関係した話が出てきます。よろしければあわせてぜひ。